英国人が悪役として登場する映画で、これほどのヒット作があっただろうか。インド映画「RRR」(S・S・ラージャマウリ監督、インド、2022年)のことだ。インドだけでなく、欧米で大ヒットを記録し、日本では公開から8カ月がすぎたいまも上映が続いている。

(Collection Christophel/アフロ)

 反・大英帝国というより、強い男たちが猛獣とともに闘い、踊り、歌う3時間におよぶ大活劇、という見方もあるだろう。だが、旧英領、南アフリカを拠点に旧植民地をめぐってきた筆者の目には、大英帝国人のずる賢さ、残忍さ、差別意識を露骨に突いた作品という印象が残った。

描かれる植民地での残酷な対応

 舞台は英植民地下のインド。森の民を訪ねた英国総督の妻が、人の手に絵を上手に描く少女が気に入り、母親に小銭1枚を投げ渡し連れ去る。

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