「この発電所で実施する実証試験は、日本のみならず、アジアなど電力の安定供給のために石炭火力発電を必要とする国や地域が、脱炭素社会へと移行するための〝試金石〟となるはずだ」

(ATLANTIDE PHOTOTRAVEL/GETTY IMAGES)

 JERAが運営する碧南火力発電所(愛知県碧南市)の谷川勝哉所長はこう語気を強める。総出力410万キロワット、敷地面積208万平方㍍を誇る同発電所は、自動車・航空宇宙産業などが集積する愛知県全体で使用する年間電力量の〝約半分〟を供給する国内最大、世界でも最大級の石炭火力発電所だ。

 今なお日本全体の発電割合の3割を占める一方で、天然ガスの約2倍の二酸化炭素(CO2)を排出する石炭火力。この発電方式と資源を巡っては、欧州各国は廃止を、インドや東南アジアは継続を主張するが、日本は世界初の試みを通じて「石炭火力のCO2排出を段階的に削減していく」という第3のアプローチを模索する。安定供給の〝火〟を絶やさずに、脱炭素社会への現実的な道筋を世界に示すことができるか─。

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