「圧倒的な人口を誇る日本人や中国人などアジア人が、やがて欧米を攻撃し世界の覇権を握るのではないか」――欧州で生まれた「黄禍論」は、やがて米国に定着し、時に米外交にすら影響を与えた。そうした人種差別はオバマ元大統領の就任に象徴されるように薄れつつあるものの、決して消えてはいない。日米外交の重要度が増す今こそ、黄禍論の100年の歩みを振り返ろう
満州事変の1933年、万里の長城を占領する日本軍。日中が熾烈な争いを始めても、米国の「日中合同論」が消え去ることはなかった(近現代PL/AFLO)

 黄禍論というと、中国人を白人が嫌悪し脅威と見なす考え方や、日本人は中国人に間違えられたせいで巻き添えとして黄禍論の対象になってしまったという考え方も根強い。しかし、歴史を振り返ると、日本人がダイレクトに黄禍論のターゲットになっていたこともあったのである。今回はそれを見ていきたい。

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