岸田文雄首相が7月14日の記者会見で、原発の再稼働に言及し、前稿「原発再稼働へ 再エネはやっぱり主役にはなれない」でその必要性を論じたが、「火力発電の供給能力を追加的に10基を目指して確保する」とも述べていることにも注目したい。本稿は火力の供給能力を拡充するという岸田首相の方針について、欧州のエネルギー政策の潮流を追うとともに評価する。

節電が呼びかけられているのは、過度な自然エネルギーへの傾倒も要因だ(ZUMA Press/アフロ)

欧州で進む石炭火力の廃止見直し

 「火力の供給能力追加」と口にすれば、「脱炭素に逆行!」と目くじらを立てる人たちがすぐに湧いてくる。しかし、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)において化石燃料の排斥を画策してきた欧州でも最近、火力発電、しかも石炭火力の廃止スケジュールの見直しが相次いでいる

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