中国一の名門大学・清華大学。

 英教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)が今年9月に発表した世界大学ランキングでは、北京大学と並んでアジアトップの16位にランクインした。日本トップの東京大学が35位にとどまったことを比べると、中国が研究、教育の分野でも飛躍していると如実に示している。

 その清華大学傘下の企業にタス・ホールディングスがある。清華大学の研究者や学生の起業を支援するサイエンスパークの運営に加え、大小あわせて800社以上を擁する巨大企業だ。清華大学のエリート研究者、エリート学生たちが作ったテック企業がずらりと顔をそろえる。

 そのハイテク企業群の中に1社、明らかに不釣り合いな企業が混じっている。タス氷雪文旅集団という、ホテル一体型の室内スキー場の運営やリゾート開発を手がけている会社だ。テックのテの字もないビジネスではないか。

 2018年、私はタス・ホールディングスを訪問し事業の紹介を受けたが、説明を聞きながらも「なぜウインタースポーツ?」と頭の中にはハテナマークが浮かんでいた。その表情を見て、担当者は「北京冬季五輪が決まったじゃないですか。これから伸びるビジネスですよ」と説明してくれたのだった。

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