中国本土で拘束されている「香港12」支持を訴える朱凱迪(エディー・チュー)、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)ら香港の活動家たち(2020年10月20日、写真:ロイター/アフロ)

(黒井 文太郎:軍事ジャーナリスト)

 10月17日、一人の中国人の民主化運動家が香港で記者会見した。香港に隣接する広東省深圳に住む64歳のアレクサンドラ・ウォンさんだ。彼女は2019年8月、香港での抗議行動を咎められて逮捕された経験があった。保釈されてから1年間は香港入りが認められなかったが、それが過ぎたので香港に入り、今回、14カ月ぶりに公の場に登場した。今後も香港に留まり、抗議行動を続けるとのことである。

 しかし、香港ではすっかり中国の支配が強化され、抗議活動はかなり下火になっている。8月23日に香港からスピードボートで台湾に亡命しようとし、海上で中国の海警局に逮捕された12人の若者たちがまだ拘留されており、「香港12」と呼ばれて解放が訴えられているが、中国側に応じる気配はない。

 香港では10月1日にも「香港12」救出を訴える小規模なデモが行われたが、香港警察が拘束・排除に動いた。香港は、もはや中国の完全な統制下におかれ、人々の政治的自由は失われたといっていいだろう。ちなみに、10月17日にはスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんが香港12の解放を訴えるツイートをしたところ、中国外交部副報道官が「干渉する権利はない」と強く反発する事態にもなっている。

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