9月14日、サウジアラビア東部のアブカイク及びクライスにある石油生産・出荷基地に対して、無人機(ドローン)攻撃が行われ、関連施設に重大な被害が発生した。イエメンの武装勢力フーシ派による攻撃とされるが、イランの関与も指摘され、詳細はいまだ不明である。

 この攻撃で、日量570万バレル(B/D)の生産が停止した。直近(8月)時点でのサウジアラビアの石油生産量の約6割に匹敵する供給が失われ、世界全体の石油生産の約6%の供給が停止したことになる。

攻撃を受けたサウジアラビアの石油精製施設。20日公開された(AP/AFLO)

石油生産の心臓部への攻撃

 攻撃を受けたアブカイク・クライス共に、サウジアラビアの石油生産にとって極めて重要であるが、特にアブカイクは世界最大の原油関連施設が集積しており、まさにサウジアラビアの石油生産の心臓部であるといってもよい。

 サウジアラビアの主要油田から集められた原油は、いわゆる「前処理」を行うことで成分・性状を調整し、原油精製設備で処理・精製できる品質に調整され、出荷される。その中心施設がアブカイクにあることから、同国の石油供給施設・インフラの中でも際立った重要性を有している。当然、その重要性から厳重な警備の下に置かれ、セキュリティが確保されてきた。

 攻撃直後に行われたフーシ派報道官の発表では、今回のドローン攻撃は2015年以来続くサウジアラビア等によるイエメン・フーシ派への攻撃に対する「反撃」として実施されたものであり、サウジアラビアの攻撃や包囲が続き限り、反撃も続くとされた。ただし、その後、フーシ派はサウジアラビアへの攻撃を停止する、と発表している。

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