台湾の元総統・李登輝さんが今も大切にしている「日本の精神」とは――? 唯一の日本人秘書である早川友久さんが、李登輝さんの言葉の真意を読み解きながら、その素顔を明かしていきます。(⇒この連載のバックナンバーを見る

李登輝元総統と早川友久氏(写真:筆者提供)

 

 李登輝は、総統の座についたとき、民主化や自由化を進めていくなかで「三つの改革」を行わなければならないと考えたという。

 三つの改革とは「司法改革」「教育改革」「精神改革」を指す。

 長年の独裁体制によって司法も毒されており、司法の独立を確立させることを目指した。教育改革では、それまで中国の歴史や地理ばかりが教えられていた教育現場に、台湾の歴史や地理の教育を盛り込んでいくことを狙ったものである。

 そして何より李登輝が重視したのが精神改革だった。当時、戦後40年以上が経過し、国民党による独裁政治のもとで歪められてしまった台湾の人々の精神を立て直し、自信を持たせようとしたのである。

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