SSブログ

日本の悪口を言いたがるインテリ・・自分が偉くなったような気になったり、喜々としていたりする態度には嫌悪感

閉じる

【産経抄】8月18日

 宣伝するみたいだが、毎朝、小紙「話の肖像画」欄に連載中の史家、渡辺京二さんの話を読むのが楽しみである。17日に載った4話では、日本の悪口を言いたがるインテリをこう突き放していた。「自分が偉くなったような気になったり、喜々としていたりする態度には嫌悪感を覚えます」。

 ▼渡辺さんの著書は数多いが、まず思い浮かぶのは『逝きし世の面影』である。十数年前、ジャーナリストの櫻井よしこさんが激賞するのを聞いて手に取った。明治初期まで確かに存在したが今はもうない「江戸文明」について、訪日外国人の膨大な手記を引いて描き出している。

 ▼随所に驚きがある。例えば1866年に初来日したオランダ人、ハラタマの目には江戸は田園に映った。「町中ところどころに公園と云(い)ってよい大きな庭園があるので、まるで田園の村の中にいるような気分になります」。テレビの時代劇のごみごみとした江戸のイメージとはほど遠い

 ▼英国の女性旅行家、バードは言う。「女性が外国の衣裳(いしょう)でひとり旅をすれば(中略)、無礼や侮辱にあったり、金をぼられたりするものだが、私は一度たりとも無礼な目に遭わなかったし、法外な料金をふっかけられたこともない」。

 ▼もっとも、バードは著書『日本奥地紀行』で日本の山村の貧しさや子供の皮膚病、ノミだらけの非衛生な宿なども克明に記しており、ほめてばかりはいない。多くの外国人が日本人の幸福そうな様子を強調しているが、もちろん悪い面、劣った面もたくさんあった。

 ▼明治維新150周年の今年、政府は10月23日に記念式典を執り行う。明治以降の歩みを振り返るのも意義あることだが、この際、少し視野を広げて「逝きし世」を考える契機ともしたい。


タグ:産経抄
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

Facebook コメント