資源の観点からみるとコバルト(前回号『アップルはなぜアフリカのコバルトを買い占めるのか?』参照)も、リチウムも、資源制約があるため、リチウムイオン電池(LIB)市場への大量の安定供給は難しい。LIBが正常に生産できないと電気自動車(EV)の普及は挫折するかもしれない。前回はコバルトの資源問題について書いたが、今回はもう一つの深刻なリチウム資源について書いてみたい。

リチウム資源となるボリビア・ウユニ塩湖のかん水(Mauro_Repossini/iStock)

 

 まず、初めになぜEVが世界中で持てはやされるのかを解明することから始めたい。米カリフォルニア州で始まったZEV規制(加州で一定台数以上の自動車を販売するメーカーは、そのうちの一定割合を、排ガスをいっさい出さないEVや燃料電池車にしないといけない)が世界的に広がり始めた。

 多額の補助金を出し、自国のEVメーカーを育成しようとするカリフォルニア州や中国、または、自動車産業を持たないノルウェー、オランダといった先進国での市場拡大がこれまでのトレンドであったといえる。

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