【浪速風】「1人はみんなのために」と金をつかんだ3本の矢(2月22日) [◉日本流を考える]
毛利元就(もとなり)の「三矢の教え」を思い出す。病床に伏した元就が3人の息子を呼び寄せる。まず1本の矢を折って見せ、続いて3本を束ねて折ろうとするが、折れない。「このように3人が結束して、毛利家を守ってほしい」。平昌(ピョンチャン)五輪のスピードスケート女子団体追い抜きで、リンクに放たれた3本の矢も強かった。
▼終始、隊列を乱さず、腕の振りも、足の運びもそろって、個人のメダリストをそろえた強豪オランダに勝った。強さだけでなく、その美しい滑りに感動した。いや3本の矢ではなかった。チームは4人、さらにコーチらも一丸となって、長い時間をかけて技術と戦術を磨いた。
▼「和」がもたらした金メダルだ。対比するのは気の毒だが、韓国はチームワークの乱れが批判され、選手が謝罪会見する騒ぎになった。「1人はみんなのために、みんなは1人のために」というラグビーの格言は、どんな団体競技にも通じる。オリンピックとはかくも教育的である。
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