SSブログ

仮想通貨の強奪にトンネルは必要ない 1月29日

閉じる

【産経抄】仮想通貨の強奪にトンネルは必要ない 1月29日

 記者会見で厳しい表情を見せるコインチェックの和田晃一良社長=27日未明、東京・日本橋兜町の東京証券取引所

 

 ブラジルの最大都市サンパウロで昨年10月、大捕物があった。警察は、窃盗団が掘った、銀行の金庫に通じる500メートルものトンネルを摘発した。逮捕された16人が狙っていたのは、現金約10億レアル(約358億円)である。

 ▼成功すれば、「史上最大の金庫破り」になるはずだった。ブラジルでは2005年にも、トンネルを利用した窃盗事件があり、このときは80億円が奪われている。もっとも、インターネット上で取引される仮想通貨の強奪に、トンネルは必要ない。

 ▼なんと580億円相当の仮想通貨「NEM(ネム)」が、取引所の運営大手「コインチェック」から流出した。不正アクセスにより、約26万人の顧客から預かっていた資産が、たった8時間で消えうせた。管理体制の不備が指摘されている。

 ▼門外漢の小欄でも、お笑いタレント出川哲朗さんのCMは知っていた。派手な宣伝活動の一方で、まだ金融庁から正式な登録を受けていなかったとは、驚きである。コインチェックは、顧客に返金すると発表した。ただ今回の騒動は、安全性への不安から、ビットコインなど他の仮想通貨市場にも冷や水を浴びせた。

 ▼「3万円で始めて800万円になった」「1日で100万円を失った」。週刊誌に掲載された投資体験者の告白は、仮想通貨の価格変動の激しさを示している。米ウォール街の首脳からも、17世紀オランダで起きたチューリップの球根バブルを例に挙げて、通貨ではなく投機にすぎない、と批判の声が上がる。

 ▼数百年遡(さかのぼ)らなくても、日本人はほんの一昔前の経験から大きな教訓を得ているはずだ狂乱と絶望の数十年が、どれほど大きなダメージとなったか。仮想通貨の取引に多数参加する若者に、伝えきれないのがもどかしい

 

 


タグ:産経抄
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 1

コメント 0

Facebook コメント