【産経抄】エルサレム首都認定はテロを引き起こす 12月8日
世界最古の都市の一つ、エルサレムは、イスラエルの首都であって首都ではない。イスラエルは1948年の第1次中東戦争の勝利により、西エルサレムを獲得した。
▼67年の第3次中東戦争で東エルサレムを占領併合して、首都と規定してきた。ただし、国際社会は認めていない。日本や米国を含めた各国は、大使館を商都テルアビブに置いてきた。
▼今から思えばイスラエルは、突破口にしようとしたのではないか。95年に開催された「エルサレム三千年祭」である。エルサレムが古代ユダヤ王国2代目の王ダビデによって、首都と定められていたのは、紀元前1千年ごろとされる。それから3千年になるのを祝って、国内ではさまざまな記念事業が繰り広げられた。
▼それと連動するかのように同じ年、米国の議会では在イスラエル大使館をエルサレムに移す法案を可決した。米国内のユダヤ系団体による激しいロビー活動の勝利である。もっとも、クリントン、ブッシュ、オバマの歴代大統領は執行を凍結してきた。エルサレムはユダヤ教だけでなく、イスラム教とキリスト教にとっても聖地である。パレスチナ自治政府は、東エルサレムを首都とする国家樹立をめざしてきた。米国が首都と認定すれば、アラブ諸国の激しい反発が予想されるからだ。
▼そんなタブーをトランプ大統領は、あっさり乗り越えてしまった。政権内の慎重な意見を抑えて、支持基盤である親イスラエル勢力の意向を優先したようだ。専門家によれば、今後の中東情勢の不安定化は避けられない。
▼米国内で9・11テロを上回るテロ事件が起き、同盟国の日本も攻撃の対象になる。作家の佐藤優さんは今年1月の小紙への寄稿で、こんな最悪の事態を憂慮していた。
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