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江東、大田因縁の両区の領土争い 10月31日

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【産経抄】江東、大田因縁の両区の領土争い 10月31日

 東京都江東区にある人工島「夢の島」の埋め立てが始まったのは、昭和14年である。『江東区史』によれば、当初の目的は空港の建設だった。現在の大田区内で8年前に開港していた羽田飛行場は、すでに手狭になっていた。

 ▼世界屈指の規模の国際空港をめざしたが、戦時下の物資不足のために計画は頓挫する。一方羽田飛行場は敗戦後、GHQによって拡張が進められ現在に至る。そんな因縁のある江東と大田の両区が、東京湾の人工島をめぐって「領土争い」を繰り広げている。

 ▼対象となっているのは、都が48年からごみの埋め立てで造成してきた「中央防波堤」である。2020年の東京五輪・パラリンピックでは、ボート競技などの会場にもなる。両区とも100%の帰属を主張して、40年以上も結論が持ち越されてきた。

 ▼かつてお台場を中心にした臨海副都心でも帰属争いが起こって、江東、品川、港区で3分割した例がある。今回都は江東区に86・2%、大田区に13・8%を帰属させるとの調停案を示した。大田区は受け入れを拒否、東京地裁に提訴するという。裁判が長引けば、五輪会場に住所がない事態もあり得る。

 ▼冒頭の夢の島は、結局ごみの処理場となる。昭和40年代には、都区内のごみの大半が江東区の埋め立て地に運ばれていた。江東区は各区に清掃工場の建設を要請したものの、杉並区では住民の反対で進まない。業を煮やした江東区の区長らは、杉並区からの清掃車の前に立ちはだかる。都がいわゆる「東京ゴミ戦争」を終わらせるまで、8年もかかった。

 ▼都政は常に難題を抱えている。「領土争い」については、まだ小池百合子知事による裁定の余地が残されている。やはり国政にかまける余裕はなさそうだ。

 


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