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篠沢教授の遺言は、「日本は美しい国」 10月27日

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【産経抄】篠沢教授の遺言は、「日本は美しい国」 10月27日

 昨日訃報が届いた学習院大名誉教授の篠沢秀夫さんといえば、屈託ない笑顔が目に浮かぶ。昭和52年から11年間、TBS系の「クイズダービー」でレギュラー解答者を務めた。通算正解率は3割2分7厘。司会の大橋巨泉さんが珍答、迷答をからかっても、「3割程度の正解率が上品」と笑い飛ばしていた。

 ▼知名度が上がって講演依頼も増えたが、なぜかお呼びがかかるのは東北地方ばかりだった。あるとき、主催者との会話で戊辰戦争が話題になって謎が解けた。負けてもニコニコしているのがいい。励まされる、というのだ。

 ▼テレビのワイドショーで、天皇陛下の1年後輩だと話すと、今度は「皇室評論家」として、「官軍の地」からも依頼がくるようになった。実は学習院の歴史は戊辰戦争と大きく関わっている。明治10年の創設に際して、敵味方に関わりなく旧藩主の子弟を受け入れた。篠沢さんによれば、学習院は、「国民融和」を加速させる存在だった。

 ▼国民学校6年生のときに終戦を迎えた。日本民族再興のためには、敵の文化の調査が欠かせないと英語を学び始めた。もっとも西欧の精神を理解するのは、フランス語を勉強すべきだと気づき、以来その道一筋である。高校時代は数学の時間でも、一番前の席でランボーなどを読んでいた。クイズダービーに出演した理由の一つも、不得手があってもいい、とのメッセージを伝えることだった。

 ▼フランス文学の専門書や訳書はもちろん、西欧との比較から日本の皇室や愛国心を論じた著作もある。難病と闘いながら、執筆活動を続けていた。

 ▼「日本は美しい国です」。4年前に出した『日本へのわが遺言』に繰り返されている文言こそ、篠沢さんがたどり着いた結論であろう。

 


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