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予報は気象との戦いである 8月7日

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【産経抄】予報は気象との戦いである 8月7日

倉嶋厚さん

 

 トランプ米大統領が、17日間の夏休みに入った。かつてオバマ前大統領が10日間の夏休みを取った際、散々批判したことをすっかり忘れているようだ。たとえば、このニュースをコラムのネタにしたとする。

 ▼頼りになるのが、気象キャスターの先駆けでエッセーの名手でもあった倉嶋厚(あつし)さんである倉嶋さんの『季節おもしろ事典』によると、日本人が本格的に夏休みを取るようになるのは、明治6年ごろからだ。政府が出した令達によってまず役人が休み、やがて学校に夏休みができた。

 ▼「西欧を見習おう」とする明治政府の方針の一つだった。もともと夏は、田の草取りで忙しい季節である。「だから暑さを避けて仕事を休むという発想は、日本人から生まれてこなかったのだろう」。93歳で亡くなった倉嶋さんの著作から、日本の風土にまつわる蘊蓄(うんちく)をどれほど利用させてもらったことか。

 ▼昭和19年に気象技術官養成所を卒業した倉嶋さんは、海軍技術少尉となる。「気象士はいいなあ」「いえ、私たちもいずれ死にますよ」。勤務していた京都の特攻隊の訓練基地では、こんな会話が交わされていた。

 ▼特攻隊員たちとともに、鹿児島県の鹿屋(かのや)航空隊に転属になる前日に終戦を迎えた。約40年後、気象庁の主任予報官から鹿児島地方気象台長に転じた倉嶋さんは、まず自衛隊の鹿屋基地に挨拶に行った。飛行場を見たとき、涙があふれて止まらなかった。

 ▼「気象人として最後に気象事業の最前線で、精一杯戦うことができるのはしあわせ」。定年までの2年間、「台風の防人(さきもり)」を自任していた倉嶋さんは、こう語っている。台風5号は鹿児島県の東海上を北上し、九州は再び暴風雨にさらされた。気象台では、後輩たちが懸命に戦っている

 


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