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神武以来の天才と天才のそうちゃん 6月23日

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【産経抄】神武以来の天才と天才のそうちゃん 6月23日

 将棋の加藤一二三(ひふみ)九段(77)に、『羽生善治論』と題した著作がある。モーツァルトファンの加藤九段によると、天才作曲家は35年の生涯で626もの作品を残し、その全てが名作である。

 ▼やはり天才と認定した羽生棋聖(46)に、「質と量を高いレベルで両立させてほしい」と注文をつけていた。かつて「神武以来の天才」と称された、加藤九段自身はどうだろう。

 ▼質については、将棋に不案内の小欄に論じる資格がない。量では確かに、他の棋士を圧倒してきた。63年間にわたる現役生活で、タイトルは名人を含んで計8期獲得している。特筆すべきは、2505の対局数とともに、歴代1位となる1180もの負けの数である。長年にわたって第一線で戦い続けた、実力者の証しといえる。神谷広志八段(56)が30年前に達成した28連勝とともに、空前絶後の記録とされてきた。

 ▼ところが連勝記録の方は、加藤九段の引退の翌日、藤井聡太(そうた)四段が並んでしまった。加藤九段の最年少記録を塗り替え14歳2カ月でプロとなった中学生棋士は、初戦で加藤九段を破って以来、いまだ負けがない。

 ▼加藤九段と入れ替わるように現れたスーパースターは、その生い立ちから一言一句、対局の合間の食事の内容まで取り沙汰される。将棋界は昨年、ソフトをめぐる不正疑惑で揺さぶられた。藤井人気は、そんな沈滞ムードを吹き飛ばしてしまった。

 ▼加藤九段は最近、「ひふみん」の愛称でテレビの人気者になっている。28連勝の快挙の翌日ワイドショーに出演すると、藤井四段を「天才のそうちゃん」と呼んでたたえた加藤九段が天才棋士にかける期待は、タイトル獲得にとどまらない。モーツァルトの名曲のような、人に感動を与える名局の数々である

 


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