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【書評倶楽部】「悟り」とは「差を取ること」…東日本国際大学長・吉村作治 『「大丈夫」がわかると、人生は必ずうまくいく!』斎藤一人著 [3)ライフ]

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【書評倶楽部】「悟り」とは「差を取ること」…東日本国際大学長・吉村作治 『「大丈夫」がわかると、人生は必ずうまくいく!』斎藤一人著

吉村作治氏

 

 「大丈夫」という言葉の意味は広く、元々は健康的な男子を表す「丈夫」からきているのです。「健康である男子」の状態をいうのでしょうが、「問題ない」とか「うまくいっている」という意味から「不安がない」という意味まで広がってきています。最近は3千円くらいの勘定に1万円札を出すと「これで大丈夫ですか」とか、喫茶店で珈琲を頼むと「お砂糖、ミルクは大丈夫ですか」などと聞かれることがあります。

 本書での「大丈夫」は、緊張しているときに「大丈夫だよ、頑張れるよ」といった使い方の「大丈夫」のような気がします。人が何かこれからしようとするときに、既成の概念にとらわれることなく無心にうまくいくことだけを信じて事にあたるといいというメッセージです。私は学生に上手な人生の生き方は、どんなに小さくても、夢を持つとうまくいくよ、もしそれが達成されたら、次の夢、即(すなわ)ち目標を作ってそこに向かっていくことを教えています。

 著者は何かをする場合、将来をマイナスな方向で考えず、前向きに「大丈夫うまくいくさ」と考えて事に臨みなさいと教えているのです。本書はやさしい語り口で一つ一つを説いています。特に、「悟り」は「差を取ること」というのは、なるほどと思いました。ただ、第2章「思い込みを捨てよう」のところで「私利私欲」を薦める箇所は、逆説的にいっているわけではなく、人は自分の欲を持つとうまくいくという考え方です。しかし、私は私利私欲を考えずにエジプト研究一筋に生きてきたからこそ、今日があると自負しています。「欲」が人間をダメにすることもあると思うのです。

 なるほどなあと勉強になったのですが、きっと著者の思いとは少しばかり考え方に相違があるのかもしれません。(サンマーク出版・600円+税)

                   ◇

【プロフィル】吉村作治

 よしむら・さくじ エジプト調査隊を組織し、約半世紀、発掘調査に携わる。公式HP「吉村作治のエジプトピア」http://www.egypt.co.jp/。近著に『イスラム教徒の頭の中』。


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