【ときを紡ぐ絵本 親子とともに】言葉を通して世界を知る [3)ライフ]
生後10カ月のMちゃんが野原に座り、小さな手で一心にシロツメクサに触れています。保育士のK先生はその姿をほほえましく見つめながら、言葉を話し出す前のMちゃんがどんなふうに感じているのだろうと考えていたとき、幼いころに視力を失った三宮麻由子さんの絵本『そうっと そうっと さわってみたの』(三宮麻由子文、山村浩二絵、福音館書店)に出合いました。
「てのひらで しずかに なでると はなたちが てのしたで たのしそうに はずむよ。フポフポフポポ ポンポンポポポ」
そこには、なでる人となでられる花の情景が豊かな言葉で表されています。数日後、K先生はシロツメクサに触れるMちゃんの横で「フポフポフポポ…」と言葉を添えました。すると、Mちゃんはうれしそうに笑い、それから「…ポ…ポ」と声を出して体を揺らしながら一層楽しそうにシロツメクサに触れました。言葉が、Mちゃんとシロツメクサとの触れ合いをより楽しいものにしています。
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