公共投資というと、「無駄な道路を作るために税金を使い、しかも景気も回復しない」と考えている人が少なくないようですが、筆者はそうは思っていません。今回は、公共投資の意義について考えてみましょう。

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利用価値の小さい道路も多いが、必要な補修も必要な道路も多数

 公共投資と言うと、山奥に立派な道路を作るような「無駄」を想像する人も多いと思いますが、必要な道路や橋も多数作られています。最近では、高度成長期に大量に作られた道路や橋が耐用年数を過ぎつつ有り、その補修や補強だけでも莫大なニーズがあります。

 問題は、どうやって「無駄」な公共投資を減らして必要な公共投資を増やしていくか、でしょう。これは、「田舎の衰退を止めるために、田舎に道路等を作る」のか、「田舎の人に頼んで都会に移住してもらう」のか、といった大きな価値観の問題が背景にあるので難しいでしょうが、効率を考えれば後者が良いに決まっています。あとは、「生まれ育った場所を離れたくない」という田舎の人々の希望をかなえるために、都会の人々がどれだけ「自分たちの税金を使ってあげよう」と考えるのか、という問題でしょう。

 高度成長期なら、税収が急激に増えていたので、政治家が地元に立派な道路を作る事も容易でした。人口も増えていたので「国土の均衡ある発展」を目指す事も可能でした。しかし、これからは人口が減っていき、税収も伸びない中で、何を優先するのか、政治家も国民も真剣に考える必要があるでしょう。

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