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自分の角膜を日本で生かしてほしい 4月4日

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2017.4.4 05:04

【産経抄】自分の角膜を日本で生かしてほしい 4月4日

 1951年9月のサンフランシスコ講和会議で、ソ連のグロムイコ代表は日本の独立に数々の制約をつけようとしていた。これに対して完全独立を主張してくれたのが、独立まもないセイロン(現スリランカ)代表のジャヤワルデネ氏である。

 ▼「憎しみは憎しみによって消え去らない。愛によって消える」。ブッダの言葉を引用して、対日賠償請求権の放棄も表明した。感激した吉田茂首席全権は、メガネを外して涙をぬぐったと伝えられる。ジャヤワルデネ氏は大統領に就任後、何度も来日している。

 ▼1996年に90歳で亡くなったとき、「戦後日本の恩人」は、遺言でも日本人を驚かせた。「自分の角膜を日本で生かしてほしい」。遺志の通り日本に送られ、2人の女性に移植された。

 ▼栃木県那須町のスキー場で、雪崩に巻き込まれて死亡した高瀬淳生(あつき)さん(16)の角膜が、地元のアイバンクに提供された。息子はきっと誰かの役に立ちたいと思っていたはずだ。でも、大切な体を傷つけていいのか。「僕が淳生ならやってほしいと思う。だからやろうよ」。迷う母親を後押ししたのは、淳生さんの兄(20)の一言だったという。

 ▼「アイバンクに献眼したので、息子以外に息子の目で世の中を見てくれる人がいると思うと幸せに思う」。小紙「談話室」に、息子を病で亡くした母親のこんな投書が載ったこともある。死後に角膜を提供する、アイバンクの仕組みが整ってから50年余りたつ。

 ▼日本アイバンクによると、今年2月末現在、全国で2021人の患者が角膜移植を待っているのに対して、献眼者は746人にとどまっている角膜の提供はまだまだ足りない。緊急性が高い場合は、海外からの輸入に頼らざるを得ないのが現状らしい。

 


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