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「サービスが先、利益は後」そんなヤマト運輸の「小倉イズム」が曲がり角に立たされている 3月2日

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2017.3.2 05:03

【産経抄】「サービスが先、利益は後」そんなヤマト運輸の「小倉イズム」が曲がり角に立たされている 3月2日

住民に見送られるヤマト運輸のトラック

 大きくなった息子の洋服のお古を、甥(おい)に送ってやろうと思った。個人が小さな荷物を送る方法は、国鉄小荷物か郵便小包しかなかった。どちらも窓口の応対はつっけんどんで、日数もかかる。大和運輸(現ヤマト運輸)の社長だった小倉昌男さんの実体験である。

 ▼昭和51年から始める「宅急便」の大きなヒントになった。電話1本で自宅まで取りに行き、翌日には配達する。サービスを始めて、あらためて気づかされたのが、昼間の留守宅の多さである。小倉さんはコストがかかっても人手を増やし、夜間配達に踏み切った。「サービスが先、利益は後」。小倉さんがつくった標語の通り、その後も顧客が求める新サービスを次々に実現していった。

 ▼そんな「小倉イズム」が曲がり角に立たされている最初の年170万個だった荷物の取扱量が、今や17億個、実に千倍の規模となっている。スマートフォンの普及で、ネット通販を利用する人が激増しているからだ。加えて人手不足が深刻化し、ドライバーは長時間労働を強いられている。

 ▼たまりかねたヤマト運輸の労働組合は、今年の春闘で、荷受量の抑制を要求した。会社側も、昼間の時間指定の配達を取りやめ、夜間配達も早めに切り上げるなど、サービスを抜本的に見直そうとしている。

 ▼宅急便に対しては、会社を創業した父親はじめ会社幹部の全員が反対していた。それに対して労組が賛成の立場をとったのは、オイルショックで会社が危機に陥ったときも社員の雇用を守った小倉さんへの信頼からだ。

 ▼小倉イズムは、「顧客第一」だけではない。「社員第一」でもある。平成17年に80歳で亡くなった小倉さんも、業界トップのヤマトが進める働き方改革にエールを送っているはずだ。

 


タグ:産経抄
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