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万般の機械考案の依頼に応ず 2月15日

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2017.2.15 05:03

【産経抄】万般の機械考案の依頼に応ず 2月15日

 「からくり儀右衛門」の愛称で知られる田中久重は、発明家として幕末から明治にかけて活躍した。蒸気機関や電信機からアームストロング砲まで開発している。

 ▼数多い発明の中でも、最高傑作とされるのが、ぜんまいを1度巻くと1年間動き続ける「万年自鳴鐘(まんねんじめいしょう)」、通称「万年時計」である。六角柱の本体の各面には、スイス時計や和時計が表示され、上部のガラス製ドーム内で、太陽と月の動きが再現されている。

 ▼その仕組みを解明するために解体、復元され、平成17年の愛知万博で展示された。田中を創業者の一人とする東芝は、このプロジェクトに協力している。東芝は改めて、創業者から受け継がれてきたモノづくりにかける情熱を再確認したはずだった。

 ▼皮肉なことにその翌年に買収した米国の原発メーカー「ウェスチングハウス(WH)」によって、東芝は窮地に追い込まれている。米原子力事業で発生した損失は約7000億円にも達するとみられる。昨日、決算を発表し、損失が発生した理由について説明するはずだった。ところが、1カ月の延期が決まった。異例の事態である。

 ▼田中が、現在の福岡県久留米市から上京を果たし、明治8年に銀座に開業したのが、東芝の前身となる田中製造所である。すでに75歳になっていた。「万般の機械考案の依頼に応ず」。掲げた看板に偽りはなかった。タバコ刻み機から氷製造機まで何でも注文に応じていた。

 ▼東芝はすでに、将来有望な医療機器子会社など、事業を次々に売却してきた。現在の稼ぎ頭である半導体事業も分社化が決まっている。このまま「解体」が止まらなければ、「万般の機械考案」つまり、総合電機メーカーの看板を下ろさなければならなくなる


タグ:産経抄
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