2017年1月5日、東京築地市場の初セリでは大間のクロマグロがキロ35万円、1匹7400万円という史上2番目の高値で競り落とされた。テレビはワイドショーなどで競ってこのニュースを取り上げるなど、「クロマグロ狂騒」は今年も健在である。

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 その一方、太平洋クロマグロの資源は現在危機的な状態にある。最新の資源評価によると、親魚の生息数は初期資源量(漁業がないと仮定したときの資源量)比で僅か2.6%の水準にまで減少しており、国際社会でのクロマグロの乱獲に対する厳しい目、とりわけこの乱獲に対して資源回復のための有効な措置を取らない日本に対する批判は、この数年で急速に高まり、筆者もこれを危惧していた。

 こうした批判は、先頃(2016年12月)フィジーで開催された「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」年次会合の場で、加盟国からの日本に対する鋭い批判としてあらわとなった。筆者は政府とは独立のオブザーバーとして会議に傍聴したが、手前勝手な理屈に終始する日本に対する参加各国の怒りが爆発する瞬間を目の当たりにし、ついに来るものが来てしまったか、と暗澹たる気持ちに包まれた

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