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【産経抄】渡辺和子さん死去… 憎しみを花に変えることはできるか? 1月3日

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2017.1.3 05:02

【産経抄】渡辺和子さん死去… 憎しみを花に変えることはできるか? 1月3日

渡辺和子さん

 220万部を超えるベストセラーになった『置かれた場所で咲きなさい』に、八木重吉の詩が引用されている。〈神のごとくゆるしたい ひとが投(な)ぐるにくしみをむねにあたため 花のようになったらば神のまへにささげたい〉。

 ▼憎しみを花に変えるのが、どれほど困難か。誰よりも痛感しているのが、著者の渡辺和子さん(89)である。元旦の新聞に、ノートルダム清心学園理事長だった渡辺さんの訃報が載っていた。

 ▼昭和11年2月26日早朝、陸軍教育総監だった渡辺錠太郎宅に約30人の兵士が押し入り、教育総監を惨殺した。襲撃の指揮を執ったのは、安田優(ゆたか)少尉ら青年将校である。当時9歳だった次女の和子さんは、一部始終を目撃していた。事件の半年後、将校たちは処刑される。渡辺さんは戦後、シスターとしての道を歩んだ。

 ▼二・二六事件から50年たった61年夏、将校の遺族が営む法要に、修道服姿の渡辺さんの姿があった。反乱軍の汚名を受けた遺族たちの苦しみを知り、出席を決意したという。安田少尉の弟、善三郎さんは、渡辺さんの前で深く頭を下げながら涙をこぼした。以来、家族ぐるみの交流が続いてきた。

 ▼昨年末、米ハワイの真珠湾で安倍晋三首相は、米国民の「寛容の心」に感謝を示し、「和解の力」を強調した。もっとも世界を見渡せば、「ひとが投ぐるにくしみ」ばかりが満ち、テロが頻発する。韓国・釜山の日本総領事館の前には、慰安婦像が設置された。日韓両国が合意しても、「日本憎し」の声が覆してしまう

 ▼それでも、憎しみを花に変える努力は続けなければならない。「希望には叶わないものもあるが、大切なのは希望を持ち続けること」。著書にある言葉は、渡辺さんの遺言として受け取った


タグ:産経抄
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