行きつけのスーパーで、乳製品の陳列棚が倍以上に広がった。さまざまな効用の菌を売り物にする飲料やヨーグルトが所狭しと並べられ、選ぶのもひと苦労である。腸内細菌が心身の健康に与える影響が次々と明らかになり、消費者の関心が高まっているせいだろう。

 もとより腸内細菌の重要性はいわれてきたが、近ごろは一歩進んで、細菌の多様性やバランスが注目されるようになった。「腸内フローラ」とか「マイクロバイオーム」(宿主に定住する微生物の遺伝子の総体)という言葉に象徴される考えかただ。

 また、「脳腸相関」という言葉はすでに1880年代から提唱されていたそうであるが、近年、腸内細菌が内分泌系や脳神経系、さらには私たちの感情や行動にまで影響をおよぼすことが報告されはじめ、改めて腸内細菌の役割がクローズアップされている、というわけだ。

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