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元駐ペルー大使の青木盛久さんが言っていた…「あれはまずかった」 8月17日

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2016.8.17 05:03

【産経抄】元駐ペルー大使の青木盛久さんが言っていた…「あれはまずかった」 8月17日

 作家の吉行淳之介に『スルメと焼酎』と題したエッセーがある。昭和21年9月ごろ、新宿駅近くで靴直しに靴を奪い取られ、勝手に修理されてしまった。法外な代金を払い、下宿に帰って気づく。修理には、靴墨が塗られたスルメが使われていた。「庭の隅で犬か猫かがその靴の底を囓(かじ)っていた…と書けばつくり話になるが」。

 ▼もう一つの焼酎とは、当時「カストリ」や「バクダン」などと呼ばれていた、密造焼酎を指す。1杯30円ほどで飲めたが、現在でも劇物指定されている、メチルアルコールがしばしば混入されていた。「目散る」と当て字されるように失明したり、命を落とす人も少なくなかった。もっとも学生だった吉行には、危険きわまりない酒さえ口にする金がなかったらしい。

 ▼そんな時代だったら、「商品」として立派に通用したかもしれない。千葉県柏市内の焼き鳥チェーン店で、消毒用のアルコールが入った酎ハイが客に出されていた。酎ハイを作るサーバーに、焼酎と間違えてアルコールの容器を接続していた。

 ▼こちらは、口に入れても安全なエチルアルコールが原料である。ただ客からは、「味がおかしい」との苦情もあった。5日間で151杯も客に提供する前に、店側は気づくべきだった。一体、どんな味がするのだろう。

 ▼それを知る一人が、元駐ペルー大使の青木盛久さんである。1996年から翌年にかけて約4カ月間、日本大使公邸で武装ゲリラによる人質生活を送った。ある日、犯人グループに貯蔵室から酒の持ち出しを禁じられてしまう。

 ▼青木さんは、医務官から「毒ではない」と聞き、医療用のエチルアルコールを水で薄めて試してみた。小紙の取材に答えている。「いやぁ、あれはまずかった」

 


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