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勝利のかげに策あり 7月18日

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2016.7.18 05:03

【産経抄】勝利のかげに策あり 7月18日

 喚声と怒号が国技館を揺るがした。座布団やミカンどころか、火鉢やビール瓶まで飛び交った。69連勝を続けていた横綱双葉山が、幕内3場所目の安芸ノ海に敗れた瞬間である。昭和14年1月15日、春場所4日目だった。

 ▼もっとも「世紀の番狂わせ」は、安芸ノ海一人が成したのではない。同じ出羽海部屋にいた早大出のインテリ力士、笠置山が、2年前から打倒双葉山の戦略を練っていた。立ち合いの突っ張りから最後の外掛けまで、安芸ノ海に授けた作戦は見事に当たった。笠置山はこの戦法を論文にして発表もしている。

 ▼昭和39(1964)年の東京五輪における知られざるドラマが、またひとつ明らかになった。柔道の強化担当者が2年にわたって綴(つづ)った詳細な日誌が、発見された。もっとも多くページが割かれていたのは、当時の無差別級の覇者、オランダのアントン・ヘーシンク対策である。

 ▼身長196センチ、体重120キロのヘーシンク選手の最大の武器、寝技をいかに防ぐか。周到に立てた作戦は、結果的に実ることはなく、神永昭夫選手は決勝で敗れた。とはいえ、初めて採用される柔道で全階級の金メダル獲得をめざす、関係者の執念を示した貴重な資料といえる。

 ▼今年の芝の王者を決めるテニスのウィンブルドンを制したのは、英国のアンディ・マリー選手だった。カナダのミロシュ・ラオニッチ選手との決勝戦で見せた、奇妙なしぐさが気になった。コートチェンジの際、ベンチに座るマリー選手は、バッグの中をのぞき込みメモのようなものを読み上げていた。

 ▼トップの座を極めるには、秘策も欠かせない。大相撲名古屋場所で、横綱白鵬を倒して綱取りをめざす大関稀勢の里も、当然用意しているはずである。

 


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