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「カエルを信じろ、カエルと争うな、争う力をもつな」… その未来とは? 7月1日

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2016.7.1 07:19

【産経抄】「カエルを信じろ、カエルと争うな、争う力をもつな」… その未来とは? 7月1日

 ツチガエルたちの楽園、「ナパージュの国」は、高い崖の上にある。最近崖の下の沼から、巨大で凶悪なカエル、ウシガエルが登ってくるようになった。途中で引き返すのは、ウシガエルと戦えるぐらいの強さをもつハンニバル、ワグルラ、ゴヤスレイの3兄弟が監視しているからだ。

 ▼ただ兄弟はなぜか、一部のツチガエルに嫌われている。「カエル殺し」「暴力の道具」などと呼ばれたこともある。遅まきながら、百田尚樹さんのベストセラー『カエルの楽園』(新潮社)を読んだ。兄弟の寓意(ぐうい)は、明らかであろう。

 ▼「人を殺すための予算」。防衛予算についてのNHK番組での発言を追及され、共産党の藤野保史議員が党の政策委員長を辞任したばかりである。かつて自衛隊を「暴力装置」と呼んだ官房長官もいた。その自衛隊が目を光らせている東シナ海で、軍事的緊張が高まっている。

 ▼中国軍の戦闘機が航空自衛隊機に対し、ミサイルを撃てる戦闘態勢を取って威嚇する暴挙に出た。6月中旬から複数回にわたって、中国軍機はこのような「攻撃動作」を仕掛けている。航空自衛隊の元幹部が、インターネットのニュースサイトで公表したものだ。

 ▼すでに海上では先月、中国の軍艦が尖閣諸島の接続水域に侵入したのに続いて、情報収集艦も日本の領海に入っている参院選の最中というのに、この危機的状況についての議論が、まったく聞こえてこないのはどうしたことか。

 ▼「カエルを信じろ、カエルと争うな、争う力をもつな」。ひたすら「三戒」を守って、兄弟を見殺しにしたナパージュの国には、どんな未来が待っているのかぜひ、小説で確かめていただきたい。日本が同じ運命をたどることはない、と言い切れるだろうか。

 


タグ:産経抄
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