SSブログ

1億円の重さ 6月2日

閉じる

2016.6.2 05:03

【産経抄】1億円の重さ 6月2日

 一万円札で1億円分のパックを作ると、縦39センチ、横33センチ、高さ10センチ、重さ10キロの直方体になる。東京・日本橋の日本銀行分館内にある「貨幣博物館」では、模造紙幣で作られたパックを持ち上げることができる。

 ▼偽の白バイ警官は、本物の札が入ったジュラルミンケース3個をあっという間に奪い去っていった。府中市で昭和43年12月に起きた、戦後最大のミステリーの一つ、「3億円事件」である。人々は、事件の謎の深さもさることながら、何より桁外れの金額に衝撃を受けた。

 ▼なにしろ宝くじの1等賞金が、1千万円になったばかりである。当時の日本人は「億」という漢字を、「計り知れないほどたくさん」という本来の意味でとらえていた。平成7年に始まった「今年の漢字」のイベントがもし行われていたら、間違いなく億が選ばれていただろう。

 ▼もっとも10億円単位で土地が転がされたバブル経済の時代を経て、もう誰も、億のカネに驚かなくなった。昨日の社会面は、大阪府内で会社を経営する80代の女性が約5億7千万円の詐欺にあった事件を伝えている。全国のコンビニのATMで約14億円が不正に引き出された事件では、窃盗の疑いで2人が逮捕された。紙面の下にあるのは、ドリームジャンボ7億円の広告である。

 ▼舛添要一東京都知事(67)の政治資金をめぐる疑惑は、とどまるところを知らない。昨日の都議会の所信表明では、豪華すぎると批判のあった、海外出張でのホテルのスイートルームや航空機のファーストクラスの利用を見直すと述べていた。

 ▼舛添氏の政治資金は、回転ずし店での飲食費や子供のパジャマ代にまで化けている億の単位とは無縁のみみっちさが、かえって人々の関心をかきたてている。


タグ:産経抄
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

Facebook コメント