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現代には経営、建築、美容、果ては選挙に至るまで「コンサル」と名の付く肩書はごまんとある。

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2016.5.15 05:03

【産経抄】5月15日

 家を新築したおじに、おいの与太郎が祝いに来た。「家は総体檜(ひのき)造り」に始まり天井は薩摩の鶉木(うずらもく)、お庭は御影造り-と祝いの口上を父から教わっている。与太郎はしかし、要領を得ない。「天井はサツマイモにウズラ豆、お庭は見かけ倒し…」。

 ▼落語『牛ほめ』である。作中の父は世故にたけ、ご近所の飼い牛のほめ口上も息子に授けている。世が世なら、コンサルタントとしてそれなりの商売にはなったろう。現代には経営、建築、美容、果ては選挙に至るまで「コンサル」と名の付く肩書はごまんとある。

 ▼詐欺の片棒を担ぐ徒輩もおり、玉石の値踏みは欠かせない。2020年東京五輪招致委員会は3年前、海外の代理店に2億円余りの「コンサル料」を払った。素性をたどると、汚職疑惑でフランス当局の追及を受けている国際陸連前会長の息が掛かった会社らしい。

 ▼コンサル料が送金された口座は、ロシア陸上界のドーピング隠蔽(いんぺい)をめぐる資金のやりとりにも使われていた。「実績のある代理店」は招致にかかわった竹田恒和・日本オリンピック委員会(JOC)会長の言葉だが、「正当な対価」との釈明には誰もうなずくまい。

 ▼「復興五輪」を掲げた招致活動に挿話がある。原発事故の余波を危ぶむ海外メディアに「福島と東京は250キロも離れている」と述べ、被災地を落胆させたのが竹田氏だった。誰の指南で言ったかは知らない。いまは立場をわきまえた言葉を身につけておられよう。

 ▼衆院予算委員会では、竹田氏らの参考人招致を求める声も上がっている。カネの使い道に一点の曇りもないならこの際、スポーツ界の代表が潔白を主張するのもよろしかろう。説明は丁寧かつ正確に。不安なら、かのコンサルに指南を仰げばよい。


タグ:産経抄
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