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最近多すぎる「暴走老人」 子供に注意され腹を立て… 3月23日

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2016.3.23 05:04

【産経抄】最近多すぎる「暴走老人」 子供に注意され腹を立て… 3月23日

 民俗学者の宮本常一(つねいち)は、10歳まで祖父母に育てられた。祖父の市五郎は、常一をかわいがり、おびただしい数の昔話をしてくれた。あるとき、常一少年の大事なところがはれ上がった。

 ▼市五郎によれば、「みみずに小便をした」のが原因である。市五郎は、畑からみみずを掘り出し、ていねいに洗って、畑にかえしてやった。「みみずというものは気の毒なもので眼(め)が見えぬ。親に不孝をしたため、はだかで土の中においやられたがきれい好きなので、小便をかけられるのが一ばんつらい」。

 ▼市五郎に諭(さと)された常一少年は、みみずに「深い哀憐(あいれん)の情をおぼえた」という(『忘れられた日本人』岩波文庫)。市五郎が伝えたかったのは、今風に言えば「命の大切さ」だろう。

 ▼かつて子供に「人の道」を教えるのは、老人の役割だった。他人の子供でも、振る舞いが目に余れば平気で叱った。もちろん、昔の老人が、人格者ばかりであったはずがない。ただ最近、平気で人の道を踏み外す「暴走老人」があまりにも多すぎる。

 ▼兵庫県警に暴行容疑で逮捕された加古川市に住む75歳の男も、そんな困った老人の一人である。「そんなことしたら、あかんのに」。男が自宅近くの公園でたばこの吸い殻を捨てたところ、遊んでいた小学生7人から注意された。あろうことか腹を立てた男は、小学1年の男児(6)の首を両手で絞めた。男児にけががなかったのは、幸いだった。

 ▼「子供叱るな/来た道だもの/年寄り笑うな/行く道だもの」。永六輔さんが著作で紹介して、広く知られるようになった言葉である年寄りを笑っては、もちろんいけない。ただし、たとえ小学1年生からでもマナー違反を叱られたら、素直に反省するのは当然である。

 


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