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「かかるときかかる首相をいただきてかかる目に遭ふ日本の不幸」。

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2016.3.12 05:04

【産経抄】3月12日

 「あんな人(菅直人氏)を総理にしたから天罰が当たったのではないか」。東日本大震災発生当時、原子力安全委員長だった班目春樹氏が8日のフジテレビ番組でこう語ったことが、巷(ちまた)で話題を呼んでいる。未曽有の大災害と原発事故に対し、不謹慎で人ごとのようだとの批判もある。

 ▼ただ、当の菅氏には怒る資格はない。菅氏は平成16年10月に愛媛、高知両県などで台風が甚大な被害をもたらし、直後に新潟県中越地震が発生して10万人以上の避難者が出たとき、ホームページに記していた。「あい続く天災をストップさせるには、昔なら元号でも変えるところだが、今必要なのは政権交代ではないか」。

 ▼自然災害や被災者の受難ですら、躊躇(ちゅうちょ)なく党利党略に結びつけている。小欄が23年4月、全村避難を強いられた福島県飯舘(いいたて)村を訪ねた際、村役場の菅野典雄村長室に毎日新聞のコラムのコピーが大量に積まれていたのを思い出す。菅氏が国会で「あなたには心がない」と指摘された件に関する記事だった。

 ▼この年12月、再び話を聞いた菅野村長は、菅氏の四国霊場八十八カ所巡り再開に憤っていた。「菅さんよ、首相を終えたならお遍路じゃなく、被災地の仮設住宅を歩くのが普通じゃないか」。にもかかわらず、菅氏は昨年10月には、自身の10年間のお遍路の記録をまとめた著書をのんきに出版した。

 ▼俳人の長谷川櫂(かい)さんの『震災歌集』に収められた一首の短歌が頭にこびりついて離れない。「かかるときかかる首相をいただきてかかる目に遭ふ日本の不幸」。

 ▼事故対応をめぐっては政府、国会、民間、東電の各事故調査委員会がそれぞれ検証し、報告書をまとめている。どれも労作だが、政治家の言動と責任への追及が共通して甘かった。

 


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