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了見が知りたい 2月19日

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2016.2.19 05:03

【産経抄】了見が知りたい 2月19日

 男子テニス界に君臨するノバク・ジョコビッチ選手は、セルビア・ベオグラード出身である。内戦下に少年期を送ったジョコビッチ選手に、両親は常に言い聞かせてきた。「世界ナンバーワンの選手になって、セルビア人の名誉を取り戻すのだ」。

 ▼旧ユーゴスラビア連邦解体に伴うボスニア紛争と、その後のコソボ紛争では、セルビア人だけが加害者として断罪されてきた。『戦争広告代理店』(講談社文庫)によれば、米国のPR会社の仕業である。「民族浄化」をキーワードにして、国際世論を巧みに誘導したというのだ。紛争は、すさまじい情報戦でもあった。

 ▼著者の高木徹さんは、「日本の国家的なPR戦略の欠如」も指摘している。確かに1996年に出た、国連人権委員会における例のクマラスワミ報告に、反論してこなかった罪は重い。以後、慰安婦は性奴隷だった、との根拠のない議論が、国連でまかり通ってきた。2007年の米下院慰安婦決議にもつながっていく。

 ▼その意味で今回、国連で日本の立場を明確に説明した政府の姿勢は評価できる。慰安婦の強制連行説は、「捏造(ねつぞう)」だった。この事実に基づいて、今後も国際社会の誤解を解くべく、積極的に発言していかなければならない。

 ▼ただ、忘れてはいけない事実がある。杉山晋輔(しんすけ)外務審議官が何度も朝日新聞に言及したように、もともとは「国内問題」だった。国連で慰安婦問題を提起してきたのは、日本の左派系活動家たちである。

 ▼自分の国の名誉を取り戻すどころか、それを踏みにじる行動に情熱を傾ける。一体どういう了見なのか、問いただしてみたい。ただ「性奴隷」の言葉を生み出した弁護士に、小紙が取材を申し込んでも、受けてくれないそうだ。

 


タグ:産経抄
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