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ギフトを受け取った者の義務 2月4日

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2016.2.4 05:03

【産経抄】ギフトを受け取った者の義務 2月4日

 「ロックの帝王」エルビス・プレスリーといえば、反逆児のイメージが強い。もっとも、アメリカ文化にくわしい前田絢子(あやこ)さんによると、同時に「生真面目で礼儀正しく信仰深い田舎青年」だった(『エルヴィス、最後のアメリカン・ヒーロー』)。若者のドラッグ文化にも実は否定的だった。

 ▼1970年には、政府に協力を申し出る手紙を、ニクソン大統領宛てに出している。大統領との面会も実現し、念願の麻薬取締官のバッジを手に入れた。42歳の若さで亡くなったのは、その7年後だった。皮肉なことに、コンサートの過密スケジュールをこなすため、処方薬を大量に摂取していた事実が明らかになる。

 ▼かつての野球界のヒーロー、清原和博容疑者は、逮捕される側に回ってしまった。甲子園での活躍は今も記憶に新しい。プロ野球でも、常にスター選手であり続けた。自宅で覚醒剤が見つかり、本人も使用を認めている。週刊誌の報道以来、消えることのなかった薬物使用疑惑はやはり本当だった。

 ▼何が清原容疑者を覚醒剤へと向かわせたのだろう。現役時代はちやほやされるばかりで、生活態度を叱ってくれる人に恵まれなかった。奥さんや子供たちに去られた寂しさも訴えている。もちろん、何の言い訳にもならない。

 ▼英語のgift(ギフト)には、贈り物のほかに、天賦の才能という意味がある。神様からの贈り物を受け取った幸運な人間は、何らかの形で社会に返さなければならない。生前、慈善活動にも熱心で、その音楽が今も多くの人の心をゆさぶるプレスリーは、立派に義務を果たした。

 ▼野球の神に愛された清原容疑者はせめて、入手ルートを含めて洗いざらい白状し、薬物の恐ろしさを世間に訴えてほしい。


タグ:産経抄
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