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異色の経営者夫婦 「CoCo壱番屋」に受け継がれるDNA 1月19日

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2016.1.19 05:04

【産経抄】異色の経営者夫婦 「CoCo壱番屋」に受け継がれるDNA 1月19日

 宗次(むねつぐ)徳二さんと直美さん夫婦の波瀾(はらん)万丈の物語は、テレビドラマに十分なりうる。名古屋市内に開いた喫茶店が始まりだった。直美さん手製のカレーが評判を呼び、カレー専門店の出店を決意する。

 ▼客が辛さやライスの量を自由に選べるサービスなど、宗次さんのアイデアはことごとく当たった。店は順調に増え、やがて千店を超えるチェーンに発展する。宗次さんの人生は、単なるサクセスストーリーにとどまらない。

 ▼還暦を前にして経営から離れると、社会貢献活動に専念する。実の両親の顔を知らず、児童養護施設に預けられたつらい経験が、行動の根底にあった。平成19年には、二十数億円の資産を投じて、クラシック専用ホールを建設、世間を驚かせた。貧しい少年時代、テレビの音楽番組に慰められたからだという。

 ▼そんな異色の経営者夫妻が作り上げたカレーチェーン「CoCo壱番屋」の名前を、ここ数日新聞で見ない日はない。自社工場で作り、異物混入の疑いがある冷凍ビーフカツが、あろうことか、店頭で売られていたのだ。

 ▼といっても、壱番屋はあくまで被害者である。廃棄を依頼していた産業廃棄物処理業者が、横流ししたものだ。壱番屋のパート従業員が、スーパーの店頭で冷凍カツを見つけて、事件が発覚した。壱番屋が事実を明らかにしたのは、そのわずか2日後だった。危機管理の専門家は、迅速な対応を評価している。

 ▼実は宗次夫妻は昨年末、壱番屋の株式をすべて、食品大手のハウス食品に売却している。関係がなくなったとはいえ、二人の遺伝子は受け継がれていく。夫妻は、事件の行方を心配しながらも、かつて家族同様に接し、厳しく鍛え上げた元部下たちの仕事ぶりには、信頼を置いているはずだ。


タグ:産経抄
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