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水木しげるさんの命を救った妖怪たちが要求したものとは… 12月1日

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2015.12.1 10:00

【産経抄】水木しげるさんの命を救った妖怪たちが要求したものとは… 12月1日

 鳥取県境港市で育った水木しげるさんは、4歳ごろから、妖怪と付き合い始めた。夜、人が寝静まってから天井にしみをつけるのが、「天井なめ」だ。「海坊主」は人を見つけると、海から上がって、からだのぬるぬるした油をなすりつけようとする。近所に住む「のんのんばあ」と呼ばれるおばあさんが、ひとつひとつ教えてくれた。

 ▼やがて、水木さん自身が、妖怪に取り憑かれてしまう。もっとも、悪さをするわけではない。むしろピンチに陥ると、あっちに逃げろと導いてくれる。もしかしたら、戦時中、陸軍2等兵で送られた南太平洋のラバウルで、命を救ってくれたのも妖怪だったかもしれない

 ▼最前線で見張りをしていた水木さんは、望遠鏡であちこちをのぞいているうちに、きれいな色のオウムを見つける。つい見とれてしまっている間に、隊は敵の襲撃を受けて全滅していた。爆撃にあって左腕を失っても、奇跡的に生き延びた。

 ▼戦後、水木さんは、妖怪の世界を漫画に描き始めた。怖いというより、愛嬌がある。代表作「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する妖怪たちは、世代を超えて日本人に愛されてきた。今や人気は海外にも広がっている。

 ▼「はたらけ、はたらけ、そして妖怪のことをもっともっと研究して世間に広めろ」。体に棲みついた妖怪は要求し続ける。「そう思わなければ、こうまで仕事をするわけがない」。睡眠と食事をこよなく愛する、自称怠け者の水木さんは語っていた。

 ▼妖怪たちも満足したのだろう。水木さんの訃報が届いた。93歳だった。水木さんは、死後の世界の存在を信じていた。神様になったのか、それとも妖怪の生活を満喫しているのだろうか。「朝は寝床でぐー、ぐー、ぐー」。

 


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