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青酸ソーダの恐怖 8月18日

2015.8.18 05:03更新

【産経抄】
青酸ソーダの恐怖 8月18日

 メッキなどに使われるシアン化ナトリウムは、青酸ソーダとも呼ばれ、毒性が強い。その存在が一般にも知られるようになったのは、昭和52(1977)年に起きた青酸コーラ事件からだろう。東京、大阪で高校生らが死亡した、無差別殺人事件である。

 ▼59年のグリコ・森永事件では、全国のスーパーに青酸ソーダ入りの菓子がばらまかれた。平成7年の地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教の関連施設からも、サリンの原料となる物質とともに、大量の青酸ソーダが見つかっている。

 ▼そんな危険な化学物質が、中国の大都市、天津の市民を恐怖に陥れている。当局は、12日深夜に爆発事故が起きた現場に、数百トンも保管されていた事実を認めた。現場に到着した李克強首相は、消防隊員を激励したり、病院に入院中の負傷者を見舞ったりと大忙しだ。

 ▼今年6月に長江で起きた、客船転覆事故でも見られた、おなじみの光景である。もっとも、肝心の事故原因については、不正改造によって、客船の構造が不安定になったからか、救助された船長の運航ミスなのか。いまだに責任の所在は、はっきりしない。

 ▼今回も市民が知りたいのは、首相の奮闘ぶりではないはずだ。大気汚染が深刻化するなか、都市住民は、環境問題に敏感になっている。何よりの心配事は、化学物質による人体への影響である。犠牲者の多くを占める消防関係者の遺族も、納得のいく説明を求めている。そもそも、住宅地の近くで、危険物質を貯蔵するのは、中国の法律でも認められていない。

 ▼当局はメディアの取材を許さないばかりか、流言飛語を抑えるとの名目で、ネットのサイトを次々に閉鎖している。市民の不安をかき立てる情報統制は、もろ刃の剣である


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