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欧州にとって再び「他者」となるギリシャが頼りにするのは、歴史的に縁が深いロシアか、金持ちの中国か。

2015.6.30 05:04更新

【産経抄】
ギリシャの旅立ちの日 6月30日

 ギリシャの経済危機があらわになって以来、多くの人が疑問を抱いたはずだ。欧州で真っ先に文化の花を咲かせた人たちが、どうして堕落してしまったのか。この国の歴史にくわしい村田奈々子さんによると、そもそも同じ「ギリシャ人」と扱うのが、間違っている。

 ▼現在のギリシャのある地域は、4世紀後半から東ローマ帝国の支配下に入り、15世紀以降はオスマン帝国領となる。人々にとって、欧州は長らく「他者」であった(「ギリシャはどれほど『ヨーロッパ』か?」「中央公論」2012年5月号)。

 ▼18世紀になって、西欧の知識人の間で、古代ギリシャへの尊敬の念が強まっていく。プライドを刺激されたギリシャの人たちは、苦難の末に独立を果たした。1974年の国民投票の結果、民主化を達成し、81年に現在のEUの前身であるEC(欧州共同体)に加盟する。つまり、晴れて欧州の仲間入りを果たしたのだ。

 ▼しかし、蜜月の時代は長くは続かなかった。ギリシャにいくら資金をつぎ込んでも、ブラックホールに吸い込まれるように消え失(う)せた。債務が積み重なるばかりである。もはや現在のギリシャに、ソクラテスら哲人たちの末裔(まつえい)の国のイメージを重ねる人は皆無だろう。EUの堪忍袋の緒も切れた。

 ▼一方、緊縮財政を押しつけられ、生活が悪化の一途をたどる、ギリシャ国民のいらだちも強まるばかりだ。財政破綻の崖っぷちに立たされたギリシャ政府は、41年ぶりの国民投票に、打って出る。

 ▼前回とは逆に、EUが求める構造改革を拒絶する結果ならば、ユーロ圏とEUからの離脱につながりかねない欧州にとって再び「他者」となるギリシャが頼りにするのは、歴史的に縁が深いロシアか、金持ちの中国か


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