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初の黒人大統領も、米国社会の宿痾(しゅくあ)に手が付けられなかった。

2015.6.26 05:05更新

【産経抄】
オバマ大統領の苛立ち 6月26日

 1996年7月、五輪開催を直前に控えた米ジョージア州アトランタでは、州旗が論議を呼んでいた。当時の州旗は右側3分の2に、南軍旗がデザインされていた。黒人奴隷の解放に反対し南北戦争で敗れた、南部連合の旗である。

 ▼56年に州議会が採用したのは、ノスタルジアからではない。公立学校での人種分離制度に対して、連邦裁判所が下した違憲判決に、反発した結果である。白人優越主義団体のKKKも、集会で掲げてきた。組織委員会は、人種差別のイメージが五輪にふさわしくない、と会場への持ち込みを禁止する。

 ▼南軍旗が、同じ南部のサウスカロライナ州で起きた忌まわしい事件によって、再び注目を集めている。黒人教会で銃を乱射して9人を惨殺した犯人(21)が、南軍旗を持った写真をネットで公開していた。同じ旗が、州議事堂の前に掲揚されていることに批判が高まり、撤去に向けての審議が、上下両院で始まる。

 ▼現在のジョージア州旗には、南軍旗は使われていない。まだ図柄の一部に残るミシシッピ州旗などにも、変更を求める声が上がっている。もっとも、南軍旗を排除したからといって、問題の解決につながるわけではない。

 ▼今年は、南北戦争終結、リンカーン大統領暗殺から150年にあたる。黒人に白人と同様の投票権行使を求めて、キング牧師が組織した「セルマの大行進」と呼ばれるアラバマ州のデモからも、50年たつ。

 ▼人種問題の節目の年に皮肉にも、警察と黒人間の対立が激化したオバマ大統領が、最近の発言のなかで、黒人に対する差別語「ニガー」をあえて使い、波紋を広げている初の黒人大統領も、米国社会の宿痾(しゅくあ)に手が付けられなかった。そのいら立ちの表れかもしれない


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