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ただひとつの救いは、夏鈴さんがアイドルになる夢をかなえた事実である。

2015.5.26 05:05更新

【産経抄】
21歳の夢 5月26日

 「マスターズに勝つことが、夢だった。家族といっしょに喜べたことは、本当にうれしい」。先月、ゴルフの祭典マスターズを制したのは、ジョーダン・スピース選手、米テキサス出身の21歳の若者だった。

 ▼冷静にして緻密、若武者らしからぬプレースタイルが身上だ。自閉症の14歳の妹を常に気遣い、ボランティア活動にも熱心に取り組む好青年でもある。王者の印であるグリーンジャケットを羽織る姿に触発されて、記憶をたどった人もいたはずだ。21歳のころ、どんな夢を抱いていただろう。

 ▼栃木県真岡(もおか)市の民家で、遺体となって発見された21歳の平沢愛実さんにも夢があった。長野県出身の平沢さんは、両親が離婚するなど複雑な家庭環境に育ち、早くから1人暮らしをしていた。4年前から宇都宮市に移り、居酒屋などで働いていた。

 ▼「将来は独立して飲食店を開きたい」と、周囲に夢を語っていた。その実現のために、平沢さんがためていた資金が狙われた。42歳の会社員と無職の25歳の女が、行方がわからなくなった平沢さんの口座から、現金800万円を引き出していた。2人は、平沢さんの殺害も認めている。

 ▼平沢さんは、かつての上司が「接客能力はトップクラス」と太鼓判を押すほど、客や同僚に好かれていた。強欲な2人の魔の手から逃れて、開店にこぎつけていたら、間違いなく繁盛していただろう。

 ▼悲しい訃報がもうひとつ。今年2月に歌手デビューを果たしたばかりの丸山夏鈴(かりん)さんが22日、肺がんのために亡くなった。21歳だった。小学生のときに脳腫瘍を発症し、3年前に芸能活動を始めてからも、休業と復帰を繰り返してきた。ただひとつの救いは、夏鈴さんがアイドルになる夢をかなえた事実である。


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