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学生のカンニングを想起させる情けない不正行為は、この病院だけの問題なのか。若者論の著作もあった頼藤さんなら、どんな診断を下すだろう。

2015.4.17 05:04更新

【産経抄】
頼藤先生の診断 4月17日

 長年の小紙の読者なら、「人生応援団」のコーナーを覚えておられるだろう。精神科医の頼藤和寛(よりふじ・かずひろ)さんが、読者の悩みに答えていた。ユニークで、軽妙で、ときに辛口の文章は、相談ならぬファンレターも舞い込むほどの人気だった。頼藤さんが平成13年に、53歳の若さで亡くならなかったら、連載は今も続いているだろう。

 ▼こんな相談を思い出す。39歳の女性が鬱病でかかっている、神経内科の医師に恋してしまった。これに対して頼藤さんは、その先生にラブレターを出すことを勧める。3通りの可能性が試せる、というのだ。

 ▼まず、やに下がって乗ってくるようなら医師失格、かといって、急に無愛想になるのも、医師としては未熟である。「手紙を読んで、あなたへの理解が深まりました」などと、なんの変わりもなく応対してくれる医師が、スグレモノだ。

 ▼川崎市の聖マリアンナ医科大病院で発覚した、「精神保健指定医」の不正取得問題のニュースを聞いて、想像してみた。資格を取り消された20人の精神科医の先生たちなら、女性患者にどんな態度を取っただろう。

 ▼指定医は、重い精神疾患患者を強制的に入院させるかどうか判断するなど、大きな権限が与えられる。診療報酬も優遇される。その資格を取るために11人の若手医師は、実際は診察していない患者のリポートを提出していた。残りの9人は指導医として、確認を怠った。病院によれば、不正が認定された医師は既に100人の患者の強制入院に関わっている。判断が誤っていたとしたら、重大な人権問題である。

 ▼学生のカンニングを想起させる情けない不正行為は、この病院だけの問題なのか。若者論の著作もあった頼藤さんなら、どんな診断を下すだろう。


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