SSブログ

「キューバはアメリカに経済封鎖を受けながら、戦っている。そのキューバから日本に帰ってきた途端、いつも、『なんだこの国は』と思ってしまうんだ」。

2015.4.14 05:04更新

【産経抄】
戦いは続く 4月14日

 第二次世界大戦で、日本は無条件降伏に応じなかった。本土決戦の末に敗れる。しかし、地下に建国した日本は、駐留する国連軍を相手に今もゲリラ戦を続けている。人口は26万人にまで激減しているが、優れた文化と科学技術は、世界の尊敬を集めていた。

 ▼作家の村上龍さんが平成6年に書き下ろした『五分後の世界』(幻冬舎文庫)には、現実から5分ずれた世界に存在する、もう一つの日本が描かれている。村上さんは、「キューバ・フリーク(熱狂者)」としても知られる。現代日本への痛烈な批判を込めたこの作品も、カリブ海に浮かぶ小さな島国への、度重なる訪問がきっかけとなった

 ▼「キューバはアメリカに経済封鎖を受けながら、戦っているそのキューバから日本に帰ってきた途端、いつも、『なんだこの国は』と思ってしまうんだ」。村上さんは、小紙のインタビューで語っていた。そのキューバと米国の首脳会談が、59年ぶりに中米パナマの首都パナマ市で実現した。

 ▼中東では過激組織「イスラム国」のわが物顔の振る舞いが続いている。ウクライナ危機では、ロシアにクリミア半島併合を許した。オバマ大統領の「弱腰外交」のレッテルは、すっかり定着してしまった。せめて、キューバとの国交正常化を「政治的遺産」として残したいはずだ。

 ▼一方のキューバは、対米関係を改善して海外からの投資拡大を実現しないと、経済が立ち行かないほど追い詰められている。敵同士が歩み寄る、条件は整っていたわけだ。

 ▼もっともキューバのカストロ国家評議会議長は、自らの社会主義体制に風穴を開け、自由の風を吹き込もうとする、米国側のあらゆる試みを許すつもりはない。戦いはまだ、続いているのだ


タグ:産経抄
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

Facebook コメント