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そんな韓国の世論が事件にどのように反応するのか、何より気にかかる。まさか犯人を英雄視することはないだろうが。

2015.3.6 05:04更新

【産経抄】
靴と刃物 3月6日

 ブッシュ米大統領の身のこなしは見事だった。2008年12月、イラクを電撃訪問し、バグダッドで記者会見に臨んだときの出来事である。大統領は、イラク人の男性記者が突然投げつけた靴を姿勢を低くして避けた。「事実を申し上げれば、あの靴は10号サイズだった」などと、冗談を口にする余裕さえあった。

 ▼オバマ大統領は今回、冗談で済ますつもりは毛頭ないだろう。駐韓米国大使がソウルで、刃物を持った男に襲撃されるという前代未聞の事件である。命に別条はないものの、血だらけの大使の映像は衝撃的だった。超大国、米国の威信は大きく傷ついた。

 ▼現場で身柄を拘束された男は5年前にも、当時の駐韓日本大使にコンクリート片を投げつけ、逮捕されている。その際の取り調べに対し、「安重根のように歴史に名を残したかった」と語った。明治末期、初代韓国統監だった伊藤博文元首相を暗殺した人物に、自らを重ねていた。筋金入りの反日活動家による米国大使襲撃事件の背景には、何があるのか。

 ▼小紙の加藤達也前ソウル支局長に対する、不当な出国禁止措置が続いている。日本の寺から盗んだ仏像は、返さない。朴槿恵(パク・クネ)大統領の対日政策は、ただただ慰安婦問題を蒸し返すだけだ。米国務次官が最近の講演でやんわりたしなめると、猛反発の声が上がった。

 ▼先鋭化したナショナリズムは、とても成熟した民主主義国家とは思えない。そんな韓国の世論が事件にどのように反応するのか、何より気にかかる。まさか犯人を英雄視することはないだろうが

 ▼実はブッシュ大統領の災難から1カ月後、記者の行為をたたえて、イラク北部のティクリートに靴の銅像が建てられた。今「イスラム国」の要衝となっている町である。


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