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「蛙」と「帰る」の語呂合わせから、海外勤務を終えたビジネスマンが、帰国を報告して手を合わせる。

2015.1.23 05:05更新

【産経抄】
将門塚のカエル 1月23日

 ポロシャツ、パンツ姿の男性は、白いあごひげが伸び、げっそりとやつれていた。両手錠をかけられ、足は鎖でつながれている。右手中指が切断されているように見えた。

 ▼昭和61年11月、三井物産マニラ支店長の若王子信行さんが、フィリピンの共産ゲリラに誘拐された。2カ月後、犯行グループから通信社に送られてきた写真は衝撃的だった。

 ▼「犯人に切られた指がひどく痛い」。数日後には、悲痛な声が録音されたテープと、中指の欠けた手形が押してある脅迫状も届くその2カ月後に無事救出された若王子さんの指は、切断されていなかった。写真や手形、テープは、脅迫効果を高めるための、犯人側のトリックだった

 ▼ナイフを振り回す黒覆面の男を真ん中にして、オレンジ色の服を着た湯川遥菜さんと後藤健二さんが砂漠に座らされている。過激組織「イスラム国」がインターネットに投稿した動画をテレビで目にするたびに、心が沈む。若王子さんの写真を思い出した人も、少なくないのではないか。今回の動画も、影の方向や2人の不自然な表情から、なんらかのトリックの可能性が指摘されている。

 ▼「何が起こっても、責任は私自身にあります」。こんなメッセージを残してシリアに入った後藤さん、そして湯川さんの家族、知人の不安、過激組織に対する怒りの強さはいかばかりか。今日の午後、いよいよ殺害脅迫の期限を迎える。

 ▼三井物産ビルの東側にある平将門をまつる碑のまわりに、蛙の像が置かれている。「蛙」と「帰る」の語呂合わせから、海外勤務を終えたビジネスマンが、帰国を報告して手を合わせる。そんな姿が若王子事件以来、目立つようになったという今はただ、2人の無事を祈るばかりである


タグ:産経抄
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