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。「君たちが生きているのは、天皇陛下の終戦のご聖断があったからだ。本土決戦になっていたら、君たちは生まれていなかったんだよ」

2015.1.12 05:04更新

【産経抄】
戦争のこと教えて 1月12日

  アサヒ10・4%、キリン59・7%。これは昭和61年のビールのシェアである。当時アサヒビールの営業本部長だった中條高徳(たかのり)さんは、「生」を主力として立て直しを図り、翌年発売した「スーパードライ」を大ヒットに導いた。今やアサヒはシェア1位である。

 ▼70歳を超え、第一線を退いていた中條さんに、ニューヨークに住む孫娘から手紙が届く高校のアメリカ史の授業で戦争の体験談を聞く、という課題が出た。戦争のことを教えて、というのだ

 ▼中條さんは、陸軍士官学校の生徒として終戦を迎えた学校に入り直し、ビジネスの世界に入っても、あの戦争を片時も忘れたことはない。毎朝、靖国神社に参拝し、そこに眠る人たちの声に耳を傾けてきた。かねて近現代史をほとんど教えない日本の学校の歴史教育に疑問を抱いていた中條さんは、孫娘の質問に一つ一つ真剣に答えていく。

 ▼「アメリカとの戦争は正しかったと思う?」「あってはならない戦争を、日本とアメリカはやったのだ。その責任は日本とアメリカの双方にある」。2人のやりとりは、『おじいちゃん戦争のことを教えて』と題して平成10年に出版され、ベストセラーとなる。

 ▼その中條さんの訃報が、先週届いた。昨年末に87歳の生涯を終えていた。「君たちが生きているのは、天皇陛下の終戦のご聖断があったからだ。本土決戦になっていたら、君たちは生まれていなかったんだよ」昨年ある会合で同席した同僚記者は、中條さんのこの言葉が忘れられないという。

 ▼きょう成人式を迎える若者の「おじいちゃん」は、戦争を知らない世代も含まれている。まず、この本で自らが学び、孫へのプレゼントにしたらどうだろう。小学館文庫で今も書店に並んでいる。


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