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カーネギーは現在の価値に換算すると、数兆円にもなる資産のほとんどを公益活動に費やし、1919年に83歳の生涯を終えた。

2014.12.26 05:05更新

【産経抄】
富の福音 12月26日

  自分の財産を子供たちにできるだけ多く残したい、と願うのは当然である。お金持ちの本音は、相続税などもってのほか、ではないか。ただし19世紀後半の米国で、鉄鋼王の異名を取ったアンドリュー・カーネギーは、大賛成だった。

 ▼累進税率を持った相続税の必要性についてこう述べている。「巨額の資産を持つ富豪は、自分の資産をつとめて自分が生きている間に処理しようとするだろう。また、その用途も必然的に…有益な使途に限られるようになる」(『富の福音』田中孝顕監訳、きこ書房)。

 ▼実際、カーネギーは現在の価値に換算すると、数兆円にもなる資産のほとんどを公益活動に費やし、1919年に83歳の生涯を終えた。米国で数年前、相続税廃止案が出たとき、反対運動を展開したマイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツ氏も、カーネギーの著書の愛読者だという。

 ▼確かに、相続税や固定資産税が原則として課されない中国では、貧富の差が極端に大きくなっている。相続税などしょせんは人ごと、どんどん増税すればいい。などとは、来年1月から言えなくなるかもしれない。

 ▼遺産の一定額まで税金がかからない基礎控除が縮小され、課税対象の世帯が、現在の1・5倍にも増えるからだ。保険や不動産を活用して、「節税」のノウハウを指南するビジネスが、活況を呈している。同時に懸念されるのが、遺産分割をめぐる家族の間のトラブルである。資産1千万円から5千万円までが、一番もめるケースだという。

 ▼ニューヨークにあるカーネギーホールをはじめ、いまもカーネギーの遺産は名声とともに数多く残っている。そんな偉人のマネはできなくても、せめて争いごとの種は残さないで逝きたいものだ。


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