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。「いつか誰かの役に立つと信じて」、小保方さんが研究を続けてきたSTAP細胞は、まだ科学の要件を満たしていないことになる。

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 評論家の佐高信さんのところに届いた知人の結婚式の招待状には、名前の「信」が「真」と間違って記されていた。佐高さんはそれを踏まえて、披露宴でこんなスピーチをしたそうだ。「結婚生活は、真実より信じることの方が大切です」。

 ▼結婚生活はその通りかもしれないが、科学の世界では通用しないようだ。総合研究大学院大学名誉教授の池内了(さとる)さんによれば、「科学は『信じる』ものではなく、事実として誰でもが再現できるものでなければならない」(『宇宙学者が「読む」』田畑書店)。

 ▼たとえば、UFOが宇宙人の乗り物だとする仮説は、誰も証明も否定もできない。ゆえに科学とはとても呼べない。ほんの2カ月前には、「ノーベル賞級の発見」ともてはやされていた、新型万能細胞「STAP細胞」はどうか。

 ▼理化学研究所の調査委員会は、すでに英科学誌ネイチャーに掲載された論文に、捏造(ねつぞう)や改竄(かいざん)があったとの結論を出している。筆頭執筆者の小保方晴子・研究ユニットリーダーはこれを不服としてきのう、反論の会見を行った。自らの不勉強、不注意、未熟について深く反省するとしながらも、「STAP現象は、何度も確認されている真実」と強調していた。

 ▼涙で声を詰まらせる痛々しい姿を見ていると、論文の不備は「悪意」のないミスだったのかもしれないと思えてくる。ただ、STAP細胞が存在する証拠は示されなかった。何より、小保方さんと共同研究者を除けば世界の誰も、再現実験に成功していない。「いつか誰かの役に立つと信じて」、小保方さんが研究を続けてきたSTAP細胞は、まだ科学の要件を満たしていないことになる。

 ▼真実は一体どこにあるのか。謎はますます深まるばかりだ。


タグ:産経抄
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