【歴史の転換点から】江戸無血開城の「点と線」(7)西郷と勝 家近良樹教授に聞く(下)勝のけれん味




西郷の余韻・大久保の非常識・慶喜の無常識-。縦横に幕末維新史を語る家近良樹・大阪経済大特別招聘教授=京都市(関厚夫撮影)


 幕末維新史研究の第一人者として知られる家近良樹・大阪経済大学特別招聘(しょうへい)教授。本項の締めくくりとして「江戸無血開城」を主導した西郷隆盛や勝海舟、徳川慶喜らに対する忌憚のない人物評を語ってもらった。(編集委員 関厚夫)

西郷の余韻 大久保の非常識

 「西郷の魅力は第一に分かりがたいところでしょうか。そこが坂本龍馬とのちがいで、龍馬にはすっきりとした魅力があります。個人的には、年を重ねるごとに、すっきりとしないものに歴史家として魅力を感じるようになりました。

 西郷の別の魅力として、彼が後世に残した馥郁(ふくいく)たる『余韻』を挙げたいと思います。もうかなり長きにわたって歴史を研究し続けていますが、人間が醸し出す余韻や味わい、薫りを考えた場合、西郷以上の存在はいないように思います。


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