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実は不況だったエリザベス1世時代のイングランド







実は不況だったエリザベス1世時代のイングランド


【連載】ビジネスに効く! 世界史最前線(第17回)


2019.3.9(土) 玉木 俊明






スペインの無敵艦隊を破り、絶頂期のエリザベス1世


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 著名な文学作品が、その舞台となった時代や登場人物のイメージを決定づけてしまうことは珍しくありません。例えば日本では、司馬遼太郎の『坂の上の雲』で、乃木希典が二百三高地の攻略で多数の軍人を犠牲にした「愚将」として描かれています。しかし、現在の研究では、その評価は正当ではないとされています。


 世界史に目を転じれば、後世における評価に大きな影響を及ぼしている代表例に、シェークスピア(1564?1616)の作品群を挙げることができるでしょう。イングランドのテューダー朝、なかでもエリザベス1世の時代の華やかなイメージは、実は同時代に活躍したシェークスピアによって決定づけられました。


 一般的にエリザベス1世の時代(在位:1558?1603)は、スペインの無敵艦隊を破ったり、東インド会社がアジアとの貿易に乗り出したりしたこともあり、イングランドの「黄金時代」と受け止められています。当然、経済も大いに発展したと思われがちです。


 しかし、現在の研究では、エリザベス女王時代のイングランド経済は、実は不況だったというのが定説になっています。そうした意味で、シェークスピアが書いた戯曲は、エリザベス女王時代、そしてテューダー朝の時代を実際より輝いていた時期と思わせる効果を今なお発揮し続けていると言えるでしょう。


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